民族植物学

民族植物学とは植物と人々のかかわりのすべてを研究する学問です。私たちは民族植物学を植物と人々から学びます。

植物と人々の暮らしに関わる、図書、標本、民具などを順次整備、公開展示し、生物文化多様性保全のための在来品種見本園も作り、キュー植物園のように村中を花でいっぱいにしたいと願っています。

さらに、秩父多摩甲斐国立公園地域の方々の協力を得て、環境学習指導者養成ELF研修会や雑穀栽培講習会、民族植物学講座などを開催します。

イギリスのRoyal Botanic Gardens, Kew、アメリカのYosemite National Park、デンマークのEnvironment School、韓国のFolk Village などはとてもよい構想モデルです。

日本の農山村の過疎、高齢化は最終段階に至り、伝統的な雑穀栽培者がごく少なくなっています。多くの伝統的農家から大切に保存されていた雑穀在来品種の分譲を受けて、施設保全を行っています。しかしながら、日本ではこれまで生物多様性条約やアジェンダ21に対する研究者や行政担当者の関心が低く、特に雑穀に関してはほとんど研究対象とされてきませんでした。熱心に研究を続けてきた雑穀研究会も小規模な団体です。

日本や世界各地の雑穀類在来品種の収集と保存を1972年から30年以上にわたって行ってきました。しかしながら、現在、伝統的生物文化を伴う現地保存の困難さと同様に施設保存の困難さに直面しています。そこで、将来の保存のための方法と場所を求めて、世界各国の施設および現地保存の状況を見て回ることにしました。2003年にはカナダとアメリカ合衆国に行きましたが、アリゾナでNative Seeds/SEARCHというとても優れたNPOにめぐり会い、会員になりました。この会は先住民の人びとの在来品種種子を2000系統も独自に保存し、畑で増殖して、再普及もしているのです。地域固有の、先住民の伝統智恵を大切にしながら、NPOでもこれほどのことができるのなら、この方法を日本でも検討してみるべきだと考えました。山梨県小菅村、日本有機農業研究会のご協力を得て、在来雑穀保全と普及活動を始めました。雑穀栽培講習会や雑穀の商品開発など活動が進展してきました。

植物と人々の博物館にご興味のある方は、ぜひ、ミューゼス研究会にご参加ください。

LinkIcon生物多様性条約第10回締約国会議(名古屋)に向けて、国内外の人々に“たねの自由と未来”に向けた提言を行いました。2010年9月4日